ユースケ・サンタマリアが明かす、自身の仕事観「この仕事は毎回賭けなんです」

ユースケ・サンタマリアが明かす、熱い仕事観

 4月16日よりスタートする、吉高由里子主演の火曜ドラマ『わたし、定時で帰ります。』(TBS系)。「働き方改革」や「ワークライフバランス」が叫ばれる現代を象徴するような本作の撮影が行われているスタジオを取材した。吉高演じる主人公・東山結衣は「残業をしない」というモットーを掲げるWebディレクター。勤務先となるオフィスのセットは、今どきのWeb制作会社にふさわしいスタイリッシュな雰囲気で、壁に大きくデジタル時計が投影されているのが印象的だ。

 3月某日、朝8時45分ーー。壁に表示された時間と、ほぼ同時刻にリハーサルがスタートした。撮影されたのは、結衣が緊急事態に慌てて会議室に駆け込むシーンだ。室内で待ち受けているのは、結衣の元婚約者でワーカホリックなWebプロデューサー・種田晃太郎(向井理)と、結衣の同僚で真面目過ぎる皆勤賞ディレクター・三谷佳菜子(シシド・カフカ)、そして悪気なくブラック発言を連発する部長・福永清次(ユースケ・サンタマリア)。

 福永が、結衣に対して声を荒げると、監督からは「もう1段階ボリュームを上げて!」とリクエストが。そして、会議室から漏れ聞こえる怒号で、オフィス全体にピリ付いた空気が広がり、“あー、あの人怒られているな……”という気まずい雰囲気が見事に表現されていくのだった。

 ところが、カットがかかった会議室の4人を見てみると、いつの間にか親指ゲームで大盛り上がり。「イエー! 勝った〜!」(吉高)、「ちょっと、これはリハーサルってことで!」(ユースケ)。先ほどまでの張り詰めた空気から一変、すっかり穏やかなムードに。

 吉高と共にムードメーカーとして、このドラマを盛り上げているユースケ・サンタマリアが、撮影後インタビューに答えてくれた。いつも掴みどころのないユースケ節で周りを笑顔にしてくれる彼が、真正面から語った本作への気合い、そして熱い仕事観とは!?

「お仕事ドラマで面白い作品を作りたい、これはチャレンジです」

――撮影、お疲れ様でした。

ユースケ・サンタマリア(以下、ユースケ):お疲れ様です。いやいや、わざわざ来てくれてありがとうね。ただね、話すこと一言もないけどね……なんてね、冗談ですよ(笑)。

――あはは。驚きました! では気を取り直して、本作に出演を決めたときの心境から聞かせてください。

ユースケ:最近のドラマは、最初に“こんな作品になります”というプロットをもらって、それを見て出演するかどうか決めているんですけど。正直、今回は「お仕事ドラマ?」って思ったんですよね。例えば、警察や医療現場だと、いろんな事件が起きますけど「普通の会社でお仕事ドラマって、これどんな感じになるの?」って。でも、共演者も制作スタッフも信用できる人ばかりで、自分もあまり経験したことのない役どころだったので、「やらせていただきます」と話をしたんです。難しそうだからこそ、これで面白いドラマができたらいいなと。これはチャレンジです。

――今回、演じる福永清次は「ブラック上司」と称されていますが、ユースケさん自身は福永というキャラクターについて、どのような印象を持っていますか?

ユースケ:よくいる人だと思います。時代によって仕事の仕方とかあるじゃないですか。福永は僕と同じ48歳で「そりゃ、こういうふうになるよな」って腑に落ちたし、イジメみたいにブラックな態度を取ってるわけじゃない。けど、今の若い人からしたら「待ってよ!」となるのもわかる。善悪の問題じゃなくて、時代のギャップですれ違ってしまうのは、もう仕方ないかなって。だから、最初から僕がオフィスのセットに入ると、うっすらみんなに嫌われてる感があって、けっこう燃えます(笑)。

――も、燃える!?

ユースケ:うん。そういう孤独感が、やっていて結構楽しい。気づいたら、この現場では僕がほぼ最年長なんです。ついにそんなときが来てしまったか、ってね。もうこれはしょうがないことですし、いつまでも若さを保っていこうとか、逆にカッコ悪いでしょ。だから、僕はいい感じに、枯れていきたいなって。ただ単に「老けたね」って言われるのはイヤだから、「年取ったけど、軽く色気あるね」って言われたらいいなというのが、僕のほのかな願いです。

――逆に、若い世代のキャラクターに対する印象はいかがですか?

ユースケ:みんな年相応なんじゃないかな。「定時で帰りたい」とか、僕がそのくらいの年だったら、そういう考え方になってると思うし、僕自身、仕事はとっとと終わらせて、プライベートな時間も持ちたいという考えもあるから。まあ、この仕事は、セットの変更とか撮影スケジュールによって、待機する時間が長くて「待つのが仕事」とも言われてるんですけど、それは今でも納得していません。でも、じゃあ「効率化だ」って早く終わったとしても、作品がつまらなかったら意味がないじゃない? めちゃくちゃ大変でも出来上がりが良かったら、「やってよかった」と思うし、しんどかったことも忘れるんです。喉元過ぎれば、というやつで。だから、続けられているのかもしれない。

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