マーベル、DCに続く第三勢力 従来の“ヒーロー像”を逸脱する「ダークホースコミックス」の魅力

「ダークホースコミックス」の魅力とは?

 アメリカン・コミックス(アメコミ)原作映画の、近年における隆盛ぶりはご存知のことだろう。いまや“マーベル・コミック”と“DCコミックス”は、アメコミ出版業界の最大勢力として、世界規模の人々に知れわたっている。アメコミ業界の双璧を成す両社は、自社のコミックブックを担保に、映像事業に参入して久しい。両社はアメコミ出版会社としての枠組みを越えて、映画スタジオとしての認知を広めつつあるのだ。

 アメコミ業界のトップを争うこの二大陣営に追いつけ追い越せと、年々業績を上げてきたのが“ダークホースコミックス”である。マーベル・コミック、DCコミックスに次ぐ、業界三番手の勢力、ダークホースコミックスは、先述のツートップに負けず劣らずの伝統ある出版会社だ。

 コミックブックの映像化に本腰を入れるツートップだが、これはダークホースコミックスも例外ではないのだ。ダークホースを代表するコミックス『マスク』『ヘルボーイ』『シン・シティ』などは、1990年代から2000年代にかけて実写化され、早々にコミックの枠を飛び出している。これらの“ダークホース映画”は、マーベルとも、DCともまるで違う、異なるカラーを確立し、独自の道を切り拓いている。その独自性の根底にあるものこそ、原作クリエイターを尊重した映画製作なのである。

 業界のメインストリーム(ここでいう“メインストリーム”とはアメコミ業界の主軸となるメジャー会社のこと)におけるコミックブック、キャラクターの権利等々は、基本的には出版各社に帰属する契約となる。業界ではこれが一般的だ。ゆえにスーパーマンやスパイダーマンなどは、会社が権利を持っているため、長い歴史の中でクリエイターを変更し、継続している。しかし、ダークホースは1986年の創立から現在に至るまで、コミックブックの著作権はクリエイターに帰属する方針を取っている。いわば、クリエイター・ファーストな会社なのだ。

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