『アラジン』は“宝の洞窟”のような存在に!? 『シンデレラ』や『美女と野獣』との共通点と相違点

『アラジン』と『美女と野獣』共通点と相違点

 ディズニーの名作アニメーション映画を実写リメイクした『アラジン』が、アメリカ本国や日本を含め、世界中で大ヒットを記録している。主人公のアラジン役や、ヒロインのジャスミン役にはスター俳優を配さず、大スターはウィル・スミスのみという出演陣で臨み、さらにはアメリカの批評家たちの評判も割れ、映画公開前に露出されたウィル・スミスの魔神の姿はインターネット上で揶揄されるなど、一見すると逆風が吹いていた作品だった。

 しかし蓋を開けてみれば、観客からは大きな支持を受け、世界の週末興行成績で軒並み1位を獲得、予想以上に動員を増やす結果となった。ここでは、そんな本作が成功した理由が何だったのかを、多角的な視点から考察していきたい。

『美女と野獣』(c)2017 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

 以前、ディズニーの実写映画化作品について書いたように(参考:「『ダンボ』『アラジン』『ライオン・キング』も 実写制作の増加から考えるディズニー作品の未来」)、最近になってこのような企画が増加してきているのは確かだ。そのなかで、『アラジン』は頭一つ抜ける作品となったといえよう。そして、そんな作品が近年、もう一つ存在した。実写版『美女と野獣』(2017年)である。2017年の興行成績では、世界・国内ともに『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』の数字に肉薄する2位を獲得している実写リメイク作だ。

 『美女と野獣』は、エマ・ワトソンなどのスター俳優を多数起用しているが、それ以外の面では『アラジン』と共通する部分が多い。ミュージカルを中心に組み立てられていること、ラブストーリーであること、そして、ディズニー名作アニメとしては比較的新しい90年代の作品であることである。

 ディズニー作品がファミリームービーとして楽しめるのはもちろんだ。そんな家族向け作品としては、オリジナルのアニメ版が公開されていた90年代当時に子どもだった観客が、親の世代になって自分の子どもを連れてくるケースが、いまはかなり多いのではないだろうか。またラブストーリーとしての魅力があることから、デートムービーとしての需要も期待できるのも強みである。

 とりわけディズニー作品を、ウォルト・ディズニー亡き後の低迷期から脱却させた『リトル・マーメイド』(1989年)はもちろん、それに続いて「ディズニー第2次黄金期」を作り上げた『美女と野獣』(1991年)、『アラジン』(1992年)、『ライオン・キング』(1994年)などの大ヒットアニメ作品は、やはり重量級の存在感がある。

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