山口智子を“異質な存在”として描く狙いは? 「サバサバ」演技で包み込んだ過去への切ない思い

山口智子が作品に背負わされている役割は?

 第100作目のNHK連続テレビ小説『なつぞら』で、ヒロイン・なつ(広瀬すず)が居候させてもらうおでん店「風車」の女将・亜矢美を演じている山口智子。

 亜矢美は元踊り子であることから、派手派手な服をまとい、スカーフ、ターバンを巻き付けた個性的なファッションで、いつでも歌い踊っている。なつに自分の服を貸し、派手派手ファッションにさせるだけでなく、様々な影響を与えている。新宿の夜の街の空気もあって、『なつぞら』の中ではそこだけが「異空間」のように浮き立っている。

『なつぞら』(写真提供=NHK)

 さらに、7月8日にスタートした“月9”『監察医 朝顔』(フジテレビ系)では、法医学者・朝顔(上野樹里)の一番の理解者であり、朝顔が法医学者を目指すきっかけとなった法医学教室の主任教授・夏目茶子を演じている。

 津波で母を失った朝顔と、妻を失った父(時任三郎)。二人の心の傷や、「事件」や「死」の真相が静かにゆっくり丁寧に描かれていく中で、やっぱり山口の存在は「異色」だ。自由奔放で神出鬼没な「謎の女性」という設定もあるが、映画のような映像と音の中に、彼女が登場するだけで、色味がガラリと変わり、ビビットな印象を残す。

『監察医 朝顔』(c)フジテレビ

 ある意味、『なつぞら』でも『監察医 朝顔』でも、その存在は浮いており、SNSでも以下のような指摘が相次いでいる。

「何を演じても山口智子」
「『監察医 朝顔』の山口智子って、月9的には女性になった久利生公平が上司になった姿に見えるのは私だけ?」
「久々? の山口智子だけど、馴染んでいないというか、浮いていません?」
「『監察医 朝顔』と、なつぞらと、山口智子さんのキャラが似てませんか~w」
「『監察医 朝顔』の茶子先生は服装の系統が『なつぞら』の亜矢美さんと同じなので、『茶子先生! これから風車ですか?』って声かけたくなる」

 その一方で、特に後者については好意的な意見も実に多い。

「『監察医 朝顔』見てたけど山口智子の“あなた、生きてるのよね”の一言でボロボロ涙溢れてきた。ほんの数秒の言葉と表情で。凄い女優さんだ」
「『監察医 朝顔』見てたら、チャコ先生…って思う。『ハロー張りネズミ』の時も、よかったんだ。おでんがすごく鬱陶しくて、役者さんを嫌いになってたけど、山口智子は悪くない」

 評価はそれぞれ異なるものの、山口を「異質な存在」として描く狙いは、両者におそらく共通している。

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