EXILE/三代目JSB 小林直己が切り開いた“世界”への道 「相手の夢を叶えることで自分の夢も叶う」

小林直己が切り開いた“世界”への道

「EXILEのほかのメンバーはスケジュールがびっしり入っているのに、僕だけはいつも時間があった。人に求めてもらうのがアーティストだとしたら、自分にはその価値が無いのかと悩みました」

 小林直己は、EXILEに加入したばかりの頃を振り返り、そう述懐する。EXILEのメンバーであり、三代目J SOUL BROTHERSのリーダーも務める小林は、現在ドームツアー「RAISE THE FLAG」の真っ最中だ。5万人もの観客の前で披露する堂々たるパフォーマンスは圧巻で、ワイルドなキャラクターを想像させるが、実際に会うと物腰が柔らかく、繊細な気遣いができる紳士である。

 ダンスを始めたのは高校生の頃。EXILE AKIRAと知り合ったのをきっかけに、EXILEに関心を持つようになり、2007年に二代目J Soul Brothersのメンバーに。マイクロバス1台で全国を廻るフリーライブツアー「武者修行」などを経て、2009年にEXILEの一員となった。しかし、前述のように個人としての仕事には恵まれず、葛藤を抱える。どうすればEXILEの中で輝き、グループに貢献することができるのかーー必死に考えた結果、辿り着いた答えは「英語をマスターする」ことだった。

「英語を話すメンバーはいなかったので、将来的に武器になると考えたんです。ハリウッド映画は世界中どこでも上映しているし、もし出演することができれば、誰かは僕のことを覚えてくれるだろうと。それに、メンバーの中に一人、英語を話す人間がいると、グループが海外で何かをする時にも役に立ちます。時間だけはたっぷりとあったから、毎日6時間くらい猛勉強しました」

 2017年にLDHが体制を一新し、海外展開を目指すようになったことで、小林のビジョンはさらに明確になっていく。同年5月、ハリウッドのエジプシャンシアターにて開かれた映画『たたら侍』のプレミア上映会では、出演者を代表して流暢な英語でスピーチを行い、多くの関係者を驚かせた。日本人の美徳や精神性を伝えようとした同作は、世界各国で上映され、モントリオール世界映画祭ワールド・コンペティション部門で最優秀芸術賞を受賞するなど、一定の評価を得た。

「海外の方々の反応は、思いのほか良かったです。作品に込められたメッセージが正しく伝わった実感を得られたことで、世界で通用する俳優を目指すという夢が現実味を帯びるようになりました。僕の日本人らしい顔立ちも、海外の人にはわかりやすいみたいで、評判は悪くないです(笑)」

 今年5月には、世界最大のファッションの祭典「METガラ」に初参加するチャンスにも恵まれた。「METガラ」を主宰する『VOGUE』編集長のアナ・ウィンターは、欧米におけるアジア人の地位向上を目指し、近年はアジア系の参加者を意識的に増やしているという。アジアンカルチャーの興隆は、ファッション、映画、音楽など、あらゆるカルチャーで見られる昨今のモードだ。そんな最中、LDHからは、世界的に人気のジュエリーブランド「AMBUSH®」を率いるm-floのVERBALと、小林が出席した。

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