谷原章介が仲間由紀恵に求める“理想”の実現 『偽装不倫』ブラック賢治が顔を見せる

『偽装不倫』ブラック賢治の誕生

 葉子(仲間由紀恵)の不倫の真相が語られ、賢治(谷原章介)の裏の顔が明かされた『偽装不倫』(日本テレビ系)の第7話。

 鐘子(杏)と丈(宮澤氷魚)の関係は未だ進展せず、鐘子は未婚なのに既婚だと嘘をついていることを話せずにいた。そして葉子と風太(瀬戸利樹)、賢治の三角関係は悪い方へと進む。前回、葉子が嘘をついて熱海旅行をドタキャンしたことで、賢治はますます葉子に対して疑心暗鬼になっている。葉子は鐘子を使って嘘を重ねるが、取り繕えないところまできていた。さらに葉子は、賢治は自分を「愛していない」と鐘子に吐露する。賢治が自身のライフプランの一部としてしか葉子を見ていないと言い、風太に対する思いは遊びではなく本気だと断言した。しかし、一貫して離婚する気はない。

 賢治が大音量でクラシックを聴いている場面や、暗い部屋で「嘘つき奥さんのご帰宅だ」などと独り言を言うシーンはまるでサスペンスのような恐怖感がある。鐘子と丈を取り巻くシーンがコミカルで可愛らしいので、葉子と賢治のシーンの重たさは作品に大きなギャップを生んでいる。賢治を演じる谷原章介は過去に『王様のブランチ』(TBS系)で司会を務めるなど、明るく爽やかで誠実なイメージの強い俳優だ。さらに『ごくせん』シリーズ(日本テレビ系)で仲間由紀恵とも共演している。そんな谷原が演じる賢治は、はっきりと葉子に思いを告げたり、葉子に不倫疑惑があっても感情的になったり暴力などには走らない。あくまで、葉子が自発的に真相を語るまでじっと待っているのだ。

 しかし家族や鐘子の前での朗らかな姿と、暗い部屋で葉子を待つ狂気じみた賢治はぞっとするほどのギャップがある。賢治の役の2面性を強く引き出す力は、やはり谷原が長く芸歴を積む中で積み上げてきたクリーンな印象が大きく関係しているだろう。さらに恐ろしいのは、葉子に愛があっての執着ではなく、自分の理想の未来を描くための執着だというところだ。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「国内ドラマシーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる