井浦新が語る、『なつぞら』に込められたメッセージ 「物語を通して多くの人を勇気づけられたら」

『なつぞら』井浦新インタビュー

 舞台は昭和40年(1965年)、主人公・なつ(広瀬すず)は20代後半となり、仕事に恋に新たな局面を迎えているNHK連続テレビ小説『なつぞら』。なつをはじめとした登場人物たちの成長、そして日本アニメーションの黎明期を描きながら、毎朝多くの視聴者を楽しませてくれている。

 なつがアニメーションの道へと踏み出していく上で重要な人物となったのが、仲努。東洋動画アニメーターのリーダーであり、日本初の長編アニメーションの作画監督としても活躍。なつの才能をいち早く見抜き、なつの上京時からずっと見守り続けてきた。

 仲を演じる井浦新に初の朝ドラ出演となった本作への思い、そして本作が描くメッセージの意図までじっくりと語ってもらった。

朝ドラの“洗礼”

ーー『赤い雪 Red Snow』『嵐電』『こはく』『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』(声の出演)『宮本から君へ』と今年は映画出演作が立て続けにあります。映画を中心に活動されてきたイメージがありましたが、本作が朝ドラ初出演というのは意外でした。

井浦新(以下、井浦):僕から“朝の匂い”がしなかったのかもしれないですね(笑)。幼少期から観ている朝ドラ、しかも記念すべき100作目の『なつぞら』に参加することができたことを非常にうれしく思っています。

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ーー撮影から完成、公開まで時間がかかる映画とは違い、朝ドラは週6日間の放送ということもあり非常にスピーディーなスケジュールかと思います。実際に体験してみていかがでしたか。

井浦:噂には聞いていましたが、最初は本当にびっくりしました。15分のドラマを半年間にわたって週6日紡いでいく。キャストの皆さん、スタッフの皆さん、本当にすごい作業だと実感しています。

ーー現場での“洗礼”も?

井浦:これまでの現場よりも流れていく時間が非常に早くて最初は慣れるのに時間がかかりました。現場に入って、テスト、そこから本番に行くまでにブラッシュアップする時間が決して多くはないんです。でも、それは悪いことではなくて、キャスト・スタッフの皆さんが、周到な準備をしてワンシーンワンシーンに懸けている。事前にイメージしたものを、役者同士のセッションでいかに形にしていくことができるか。15分という尺の中で、伝わりづらいキャラクターの心象をいかに表現できるか。瞬間的に演じていくという作業は、朝ドラならではだと感じていますし、それを味わいながら演じています。

ーーここまで主人公たちを優しく見守る役柄は、井浦さんのフィルモグラフィーを振り返っても、初めてのキャラクターのように感じました。

井浦:仲努として、どんな言葉で話して、どんな人柄なのかというのは、撮影が終盤となった今でも自問自答し続けています。ただ、ベースとなっているのは制作総括の磯(智明)さんから、1番最初にかけていただいた「なっちゃんのことを愛情を込めていつも見守ってあげてください」という言葉なんです。なつにとっての東京での精神的拠り所であり、どんな時でも寄り添ってあげることのできるそんな存在でいようと思ってスタートした気がします。磯さんからは、「情熱的な仲さんが見たいです」という言葉もいただきました。仲はアニメーションへの並々ならぬ愛情があります。そして、アニメーションに夢を見出したなっちゃんに、かつての自分を投影しているところもある。そんな解釈で仲努像を作っていきました。

ーー初登場した際の仲さんはあくまでひとりのアニメーターでしたが、東洋動画に移り役職が上がるにつれて中間管理職としての仕事も担うようになっていますね。

井浦:何があっても才能ある若者たちを生かす、見守る立場でいた仲ですが、役職が上がるにつれて会社の意向も考慮していくようになります。そして、映画からテレビという時代の流れですね。最初は原画を描いて、アニメーションにしてという作業を夢中でやっていましたが、今までよりも時間と手間をかけずに作品を作る必要が出てきた。そのためにどんなチームを構成して、どう世の中に届けていくか、そしてどう会社を動かしていくべきなのかと、どんどん視野を広げていかないといけない。そういった立場になったときに、若者たちとぶつかることも出てきてしまうんです。

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