『なつぞら』人々の心に深く刻み込まれた天陽の死 吉沢亮が果たしたキャンバスの約束

人々の心に強く刻み込まれた天陽の死

 天陽(吉沢亮)の死で沈む、十勝の人々。なつ(広瀬すず)は天陽のアトリエで、天陽と心の対話をするのだった。『なつぞら』(NHK総合)第135話では天陽が家族の元に戻り、みんなが天陽の死を偲んだ。

 なつはアトリエで、天陽の描いた馬の絵を見ている。娘の優(増田光桜)はそれを見て「ママ、本物だ、本物のお馬さんがいるよ」となつに話すのであった。なつが、この馬は動かないのにどうしてこれが本物だと思うのかと優に問うと、優は「絵を動かすのはママの仕事でしょ」と答える。今にも動き出しそうなほどみずみずしく絵を描く天陽、そしてそこに命を吹き込み、動きをつけるのがなつの役目なのであった。

 その後、なつは天陽が絵を描くために「来週退院できる」と嘘をついて家に帰ってきたことを聞く。天陽は最期を悟り、家族と過ごすために戻ってきたというのだ。天陽の家族は、天陽不在の今、離農しようと考えていた。そして陽平(犬飼貴丈)は、天陽の絵を売れば当面暮らせると靖枝(大原櫻子)に対して話す。しかし靖枝は天陽の絵を売ることを拒否するのであった。そして天陽のことを「自分の命を、その土地に、土に。命を蒔くために帰ってきたとしか思えません」と涙ながらに語る。大地に還った天陽を想い、天陽のいる土地から離れないことを決めた。そして天陽の大切してきたものを守り抜く決意を見せたのだった。

 泰樹(草刈正雄)もまた、天陽に会いに畑を訪れた。それぞれが畑の土を通して天陽の存在を感じ、懐かしむ。天陽の象徴的な死は、土地への回帰であり、いつでもここに来れば天陽に会えるという強いメッセージを感じる。

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