森山未來×仲野太賀の熱演が生み出した『富久』 『いだてん』は誰も観たことのない“戦争ドラマ”に

『いだてん』は誰も観たことのない“戦争ドラマ”に

 10月13日に放送された『いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~』(NHK総合)第39回「懐かしの満州」。五りんの父・小松勝(仲野太賀)が送った手紙「志ん生の『富久』は絶品」の真相が明らかになった。

 三遊亭圓生(中村七之助)と共に兵士たちの慰問興行で満州を巡っていた孝蔵(森山未來)は小松勝と出会う。孝蔵らの落語を聞いていた小松は、孝蔵の「富久」に難癖をつける。

「そもそもあぎゃん走りかたでは一里も走れんばい」
「長距離はもっと、ぎゃん上体ば反らして、ぎゃん顎ば引いて、こぎゃんです!」

 マラソン走者ならではの視点で走り方を指摘する小松の姿は、“マラソン狂”とも呼べる師・金栗四三(中村勘九郎)に重なる。そんな彼の純粋な笑顔からは、尽きることのないマラソン愛が伝わってくる。もっとも難癖つけられた孝蔵は怒って小松を追い出すのだが。

 日本の戦況が劣勢に追い込まれる中、圓生、孝蔵、小松は再会。結局、日本は敗戦し、置かれた状況に肩を落としながらも、3人は酒を飲み交わす。小松は酒に飲まれ、四三について悪態をついたり、家族を恋しがったりと一人騒がしい。そんな小松を見て「酒でしくじる『富久』の久蔵みたいだ」と孝蔵は笑った。

 3人で酒を飲み交わした翌日に開かれた孝蔵と圓生の二人会。小松は孝蔵に『富久』をリクエストする。そして再び“マラソン狂”の視点でアイデアを並べ始める。

「距離ば伸ばしたらどぎゃんでしょう」
「あぎゃん大騒ぎしながら走るとなら、せめて10kmは走らんと」
「芝まで走ったらどぎゃんですか」

  「バカも休み休み言えよ」と呆れ返る孝蔵だが、小松は目を輝かせ、浅草から芝まで走る男について語り出す。金栗四三だ。小松の話を聞いて、孝蔵は彼の提案にのった。久蔵の走り方も変わり、まるで“いだてん”が駆け回るかのような演目に生まれ変わった『富久』。それを見て無邪気に笑っていた小松だが、孝蔵の“走り”に心動かされ、いてもたってもいられなくなり外へと飛び出す。

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