広瀬すず×志尊淳が魅せる、若さに満ちた輝き 舞台『Q』が提示する源平の世の「ロミジュリ」

広瀬すず×志尊淳が魅せる、若さに満ちた輝き

 2019年10月8日、東京芸術劇場プレイハウスにてNODA・MAP第23回公演『「Q」:A Night At The Kabuki』が開幕した。作・演出は野田秀樹、そして使用楽曲は昨年公開の映画『ボヘミアン・ラプソディ』が記録的な大ヒットとなり再ブームを巻き起こした、言わずと知れたイギリスのロックバンド・クイーンのアルバム『オペラ座の夜』(原題:A Night At The Opera)に収録された全楽曲だ。

 野田はシェイクスピアの名作『ロミオとジュリエット』の時と場所を12世紀の日本に置き換え、ジュリエットを「源の愁里愛(じゅりえ)」、ロミオを「平の瑯壬生(ろうみお)」という名前にして、モンタギュー家とキャピュレット家の争いならぬ、源氏と平家の争いに翻弄される2人の悲恋の物語に仕立てた。そこに「もし、ロミオとジュリエットが生きていたならば……」という奇想天外な発想を盛り込み、命を落としてしまう運命を生き伸びた「それからの愁里愛」と「それからの瑯壬生」を登場させ、悲恋の“その後”を描いている。

 恋に疾走する若き「源の愁里愛」を広瀬すず、「平の瑯壬生」を志尊淳がそれぞれ演じており、2人の若さあふれるパワーと輝きが舞台中に満ちて、作品全体に力強い生命力を与えている。広瀬は初舞台だが、劇場の広さに負けないよく通る声と、野田特有の身体性を生かした演出にも軽やかで弾けるような瞬発力で応えている。9月末に半年間の放送を終えたNHK連続テレビ小説『なつぞら』で主演を務めたことにより、女優としての自信と度胸もますます身に着いたのだろう、初舞台にしてしっかり地に足のついた堂々とした演技を見せている。

 志尊は、2018年に主演したNHKドラマ10『女子的生活』で文化庁芸術祭テレビドラマ部門放送個人賞を受賞するなど、テレビ等の映像作品でその存在感と演技力は広く知られているが、元々は舞台でそのキャリアをスタートさせた俳優だ。映像ではなかなかじっくり見ることのできない、舞台の経験で取得した頭のてっぺんから足のつま先まで意識がしっかり通ったしなやかな身のこなしと繊細な演技は巧みさと美しさを兼ね備えている。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アクター分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる