Dlifeが贈る骨太なドラマシリーズ “当事者のリアル”を描く『ACCUSED/罪の真相』の特異性

Dlife贈る『ACCUSED/罪の真相』

 いわゆる「法廷劇」は、いつの時代もドラマにおいては人気ジャンルのひとつであり、実際のところ、4月期の地上波ドラマを見まわしてみても、弁護士(あるいは、それを目指す者)が活躍する作品が、依然として数多く存在している。ただ、それらの多くは、一癖も二癖もある個性派、もしくは業界の異端児が活躍するものであって、それはそれで観ていてときに痛快で楽しいのだが、「当事者性」という意味では、どこか遠い物語であるように思うこともある。というのも、大方の場合、その事件の当事者たる「被告」ーー「告発された人間」(その多くは我々と同じ、一般人であることが多い)は、そこになにがしかの濃密な人間ドラマが描かれたとしても、それはあくまでも通り過ぎる風景のひとつであって、その物語の主人公は、彼/彼女たちではなく、あくまでも法律関係者たちなのだから。

 現在Dlifeで放送中のドラマシリーズ『ACCUSED/罪の真相』 シーズン1は、そんな法廷劇的な側面もありながら法律関係者が主役ではない、極めてユニークなドラマと言えるだろう。『24 -TWENTY FOUR-』や『X-ファイル』を手掛け、最近では『HOMELAND/ホームランド』でエミー賞を受賞するなど、アメリカの名プロデューサーとして知られるハワード・ゴードンとアレックス・ガンサが、1話完結のアンソロジー形式(つまり、何話から観ても全く問題ない)で贈る本作。各話で異なるその主人公に据えられているのは、タイトル通り「告発された」者たちだ。我々とさほど変わらないような、ごく普通の生活を送っていた彼/彼女たちの身に、一体どんな事件が起こり、彼/彼女たちは、それにどのように関与しながら、何の罪に問われているのだろうか。次第に解き明かされていく彼/彼女たちの「罪の真相」とは、果たして何なのだろうか?

ACCUSED/罪の真相 シーズン1 - 予告編 | Dlife

 たとえば、第1話「スコットの物語:息子への殺意」の主人公は、脳外科医の中年男性スコットだ。彼は、現在ティーンエイジャーである息子のことがわからない。時折見せるその不可解な残虐性が心配だ。そしてある日、息子は恐ろしい事件を起こしてしまう。しかし、なぜその父親であるスコットが、法廷で罪に問われているのだろうか。あるいは、第4話「ケンダルの物語:葬られた真実」の主人公は、少女の父親である黒人男性ケンダルだ。ある日、彼の娘が何者かに性的虐待を受けてしまう。警察に相談するも、なかなか捜査は進展しない。ケンダルの仲間たちは、彼をけしかける。「自分たちの手で犯人を見つけて、制裁を下すべきだ」と。そして、犯人の死体が発見される。ケンダルは、その事件にどこまで関与しているのだろうか。

『ACCUSED/罪の真相』 シーズン1
『ACCUSED/罪の真相』 シーズン1
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 人種や性別、年齢など、各話ごとに異なるそれぞれの主人公に、ある日突然降りかかってきた災難。そのとき彼/彼女たちは何を思いながら、どんな行動に出たのだろうか。それは果たして、本当に“罪”と言えるものだったのか。「思ったこと」と「やったこと」は、必ずしも一致しない。もし自分が、そのような状況に追い込まれたとしたら、どんな行動に出ただろうか。人種や格差、性差別、あるいはメンタルヘルスなど、現代社会が抱える多様な問題を背景とした本シリーズが面白いのは、その結末が必ずしもひとつではないことだろう。各話の最後、法廷に立った主人公たちは、それぞれの判決を言い渡される。場合によっては、その告発自体が棄却されることもある。しかしながら、彼/彼女たちの人生は、そこで終わるわけではないのだ。それぞれの事件を通じて向き合うことになった自らの「本性」、あるいは裁判を通じて明らかになった、関係者たちの知られざる「本性」と、どう折り合いをつけながら、これからの人生を生きていけばいいのだろうか。その結末は、ときに痛切だ。そう、私たちが知る「現実」が、常にハッピーエンドでは終わらないように。それでも、人生は続くのだ。

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