『ブラックパンサー ザ・アルバム』ヒットの背景ーーストリーミングがサウンドトラックを復活させた

 映画『ブラックパンサー』のサウンドトラック『ブラックパンサー ザ・アルバム』が好調だ。先々週の全米アルバム・チャート(Billboard 200)に初登場した際は、15万4,000ユニットを売り上げて見事1位を獲得。サウンドトラックとしては、2016年8月に全米1位を獲得した『スーサイド・スクワッド』(18万2,000ユニット)以来の高セールスとなる。

『ブラックパンサー ザ・アルバム』

 同作は、ケンドリック・ラマーがプロデュースを務め、ザ・ウィークエンド、SZA、カリード、2チェインズ、トラヴィス・スコットなど、いま最も注目を集めるヒップホップ/R&Bアーティストが集結するほか、ジョルジャ・スミスなど期待の新人も参加し、まさにブラック・ミュージックの現在を切り取った旬な内容となっている。

 3月9日付のエンターテイメントサイト『Variety』では、ソウル・ジャズの名門であるアトランティック・レコードの西海岸沿岸部長・ケヴィン・ウィーヴァー氏が、近年のサウンドトラックを巡る状況について、次のようなコメントを寄せている。

「ここ数年を見れば、信じられないほどの復活が見られました。適切な音楽が適切なメディアに並べられた結果と言えるでしょう。近年は新しい音楽配信手段ーー特にストリーミング・サービスによって、サウンドトラックのためのまったく新しい世界が生まれました」

 一方、インタースコープ・レコードのA&RシニアVPであるマニー・スミス氏は、ストリーミング・サービスの普及とサウンドトラックの復活の関連性について、キュレーションの重要性を指摘している。

「ストリーミングの世界では、多種多様な楽曲の中から、人々は自分が聴きたい楽曲を選んで聴くことができます。(中略)そうした状況の中、ケンドリック・ラマーによってキュレーションされた音楽は、音や質感にこだわり、映画のストーリーにあった叙情性や勇気を伝える、文化的な響きを持つものでした」

 Apple MusicやSpotifyでは、様々なアーティストが自分のプレイリストを作って公開しており、ユーザーも簡単に同じようなプレイリストを作ることができる。実際、何かしらのテーマやコンセプトを設定して、オリジナルのプレイリストを作成して共有しているユーザーも多いだろう。そうした楽しみ方が広がる中で、幅広いアーティストの楽曲を映画の内容に沿って集めたサウンドトラックは、ハイクオリティなプレイリストとして、その文化的価値が再発見されているのかもしれない。

 日本国内でも、昨今では様々なアーティストがプレイリストを発表している。新しいサウンドトラックの名盤が生まれる可能性も大いにありそうだ。

参考:Music From ‘Black Panther,’ ‘Greatest Showman’ Spurs Movie Soundtrack Renaissance

(文=編集部)

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