EXILEメンバーをアニメ化した技術「ロトスコープ」とは? 新曲「STEP UP」MVの新しさ

 毎月第一金曜日の『EXILE FRIDAY』を楽しみにしているファンは多いのではないだろうか。『EXILE FRIDAY』とは、7月25日発売のアルバム『STAR OF WISH』や3年ぶりとなる全国ドームツアー『EXILE LIVE TOUR 2018“STAR OF WISH”』へ向けて、6ヶ月連続で第一金曜日にEXILEが新曲を配信する企画である。2月2日からスタートしたこの企画も、7月6日で最後となる。記念すべきラストを飾る曲は、「STEP UP」だ。「STEP UP」は80年代に一世を風靡した音楽ジャンルであるNew Jack Swingをフィーチャーした曲で、勝手に体が動いてしまうようなノリの良いダンスチューン。どことなく、Babyfaceの「Tender Lover」を彷彿とさせるような懐かしさも魅力のひとつではないだろうか。

 そして6月28日には、MVもYouTubeで公開済み。『EXILE FRIDAY』では毎回メンバーがリリックビデオをプロデュースしており、今回担当したのはEXILE TETSUYA、世界、佐藤大樹の3人。「POP/カラフル/キャッチー」がテーマと言うだけあり、80年代風の曲ともマッチしている。中でも印象的なのは、途中から現れるアニメキャラクター。PVのいたるところに様々なキャラクターが登場し、メンバー顔負けのダンスを披露してくれているのだ。

EXILE / STEP UP (Lyric Video)

 実はこれ、「ロトスコープ」という技術を駆使したアニメーション。ロトスコープは、実写映像をベースにしてアニメーション映像を作り上げる技術のことで、実写の動きをセル画にトレースしていくため、より精巧な動きを作ることができる。1910年代に発明されており、ディズニーアニメの『白雪姫』や『眠れる森の美女』に使われた技術として有名である。

 一方で、一度実写映像を撮影してからアニメーション映像を作るため、費用も時間も通常の倍かかってしまうという欠点があった。そのためあまり多用されていなかった技術であったが、デジタル化が進んで以前よりも容易に行えるようになった今、使われる機会も増えている。例えば、岩井俊二監督の長編アニメーション作品『花とアリス殺人事件』は全編ロトスコープで制作され、注目を集めていた。

 このロトスコープをMVに取り入れたのが、「STEP UP」というわけである。MVに登場するキャラクターも実際にEXILE TETSUYA、世界、佐藤大樹が踊ったものをトレースしているそうで、アニメながらリズム感溢れるダンスであることも納得だ。

 EXILEは、これまでにも様々な技術を駆使したMVを発表し続けている。例えば、2012年にリリースされた「BOW & ARROWS」。この曲のMVでは、アニメ制作会社・神風動画とコラボレーション。EXILEのライブ映像に、神風動画お得意のスピード感あるアニメーション、光彩・陰影処理がされたアニメーションが組み合わさり、独特の世界観を生み出している。また、「STEP UP」のひとつ前に公開されたパフォーマンスMV「STYLE of 24karats」も注目だ。本作は、アパレルブランド「24karats」とコラボレーションしたMVで、3つのパートで構成されている。その中の近未来パートは、CGを駆使した様々なギミックで溢れていて、まるでサイバー空間にいるかのようだ。さらに他の2つのパートをシンプルにすることで、近未来パートがより引き立っているのもポイントだ。

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