倖田來未「め組のひと」、なぜ女子高生の間で再ブーム? “Tik Tok映え”する懐メロを考察

 倖田來未が2010年に発表したラッツ&スターのカバー曲「め組のひと」が、若者の間で流行中の動画ソーシャルアプリ「Tik Tok」で、女子高生を中心に大ヒットしている。同楽曲は、LINE MUSICの6月24日付デイリーランキングで1位を獲得し、7月18日には高速のTik Tokバージョンも配信され、ブレイクから数カ月経った今でもその人気は加速する一方だ。原曲は1983年の発表で懐メロと言えるこの曲が、なぜ今の女子高生たちにウケたのかを考察してみたい。

 Tik Tokは、短い動画を撮影し、多様なフィルターや効果で加工し、好きな音楽に合わせて編集、約15秒のオリジナルショートムービーとして共有できるリップシンクアプリの代表的サービスだ。YouTubeの動画を作るよりもハードルは低く、自分の好きな曲で誰でもMVのような映像が簡単に作れて、シェアすることができる。SNS上で気軽に見られる15秒という短い時間も人気のポイントだ。ティーンが憧れる同世代の雑誌モデルやYouTuberの女の子たちが「リップシンク」という、流れる音楽に合わせて口パクをして歌ってるように見せる動画を次々アップしていったことで、若者たちを中心に広がっていった。

 Tik Tokの中で人気のある曲には、いくつかの特徴がある。有名無名は関係なく、短い時間の中でいかにインパクトのあるキャッチーなメロディを聴かせられるかが、まずは重要だ。また、覚えやすい振り付けや決めポーズがある曲も強い。YouTube広告で耳に残るTik Tokの代表的な曲と言えば、Flori Mumajesiの「Beautiful」だが、この曲には〈bang she shot me one time〉というフレーズに合わせて、バン! とピストルを撃つモーションが取り入れられている。一方、坂口有望「好ーじょしー」などは、〈君がいなくなったって/ご飯はおいしい/ちゃんと味もする〉というユーモラスな歌詞とテンポの良いリズムがウケている。

 さて、倖田來未が歌う「め組のひと」は、2010年10月にリリースしたカバーアルバム『ETERNITY~Love & Song~』に収録された一曲で、このノリノリな楽曲は今では倖田のライブの定番曲となっている。この曲がTik Tokと相性が良かった理由として、まず挙げられるのは、そのキャッチーなダンスだろう。リズムを取りながら拳を交互に振り上げて、最後に「めっ!」と目元にピースサインをするポーズ。90年代のコギャルたちの定番であり、美少女アニメキャラクターにもよく見られたこのポーズは、日本のカワイイ文化の象徴ともいえるもので、楽曲に合わせて決める姿はまさにTik Tok向けである。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる