月ノ美兎「Moon!!」をkzがリミックスして話題に! にじさんじと創作の関係を紐解く

 2012年「Tell your world」で初音ミクの名を世界に知らしめたkzが、月ノ美兎の「Moon!!」をリミックスし、クラブで回している──。

 この「Moon!! (kz remix)」は、9月15日に秋葉原mograで開かれた『夏〆』にて、出演者の"代打で"出演した同氏がドロップしたリミックスだ。

 フロアはもちろんのことだが、その様子を移した動画が次々とTwitterにも投稿され、あっと言う間にその熱狂は波紋のような広がりを見せた。

 にじさんじ所属のバーチャルライバー・月ノ美兎の代表曲となっている「Moon!!」が、氏によって、新たなファンを獲得していくさまに筆者は感慨にふけったが、元を辿れば「Moon!!」はファンの一人・iruが創作した、いわば二次創作である。決して公式──にじさんじや、月ノ美兎から生まれたものではない。

 今回は、やや複雑化しているにじさんじとファンとの創作関係を改めて振り返る。

にじさんじと創作の関係

 バーチャルYouTuberと旧来のオタク文化で最も異なる点は、双方向性だ。例えばイラストや同人誌を制作しても公式からは触れづらい。だが、バーチャルYouTuberの場合は、直接本人から「かわいい」とリプライが送られることも少なくなく、それが芳醇な創作の土壌をつくり上げつつある。

 上述したkzの投稿にも「#みとあーと」というハッシュタグがつけられている。これは、”月ノ美兎のファンアートである”ということを示すもので、それぞれが個別のタグを持っている場合が多い。にじさんじの場合なら、静凛の「#凛Art」、樋口楓の「#でろあーと」などだ。

 こういったハッシュタグをつけることで、(旧来の文脈から考えるならば)”あえて公式に見つかりやすくさせている”と考えることができる。特ににじさんじの場合は、その傾向はより顕著だ。

 ガイドラインによって、明快にその内容が規定されているだけでなく、「#にじさんじCREATORS」というユーザーを巻き込んだ公式企画にまでしてしまっている。「イラストやクリエイティブ作品の公式による実装を目的としたユーザー参加型クリエイティブ活動」と記載されている通り、買取交渉の元でにじさんじ公式で使用されることもある、というものだ。つまり、一ファンの創作が、直接公式にコミットできるということだ。

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