キズナアイ「歌ってみた・踊ってみた投稿フェス!」の新しさ 音楽ファンも注目すべき理由

 バーチャルYouTuber、キズナアイがオリジナル曲を9週連続でリリースしている。それぞれの楽曲を手がけているのは、Yunomi、☆Taku Takahashi、DE DE MOUSE、Teddyloid、Avec Avec、Nor、MATZ、Pa’s Lam Systemなどの豪華プロデューサーたち。このリリースに合わせて、バーチャルタレント支援プロジェクト「upd8」を運営するActiv8が、キャンペーン「歌ってみた・踊ってみた投稿フェス!from upd8 music」を開催している。

Kizuna AI - future base (Prod.Yunomi)

 キャンペーンは11月2日から12月30日まで。期間中、特設サイトから、毎週配信される楽曲のバックミュージックが無料ダウンロード可となっている。このバックミュージックを元に、自分なりのアレンジで動画を作成できる。「歌ってみた」「踊ってみた」「リミックス」など、規約の範囲内であれば、表現方法は自由だ。各楽曲のバックミュージックは、short ver.とlong ver.の2種類が用意されている。

 あとは、完成した動画にハッシュタグ「#キズナアイ新曲リリースフェス」 をつけてYouTubeに投稿すれば、キャンペーンへの参加が完了する。また、upd8賞に選ばれた参加者には、Kizuna AIの動画とコラボできる特典が付いてくる。 「歌ってみた・踊ってみた投稿フェス!from upd8 music」の特徴は以下3点だ。

 1つ目は、キャンペーンの場所をYouTubeに限定していること。キズナアイが登場したのは2016年11月。最初の動画が投稿されたのはYouTubeだった。他のプラットフォームでの露出が増えてきたキズナアイだが、その意味で原点回帰のキャンペーンといえそうである。急成長しているTikTokなどのサービスを選んでいないのが潔い。キズナアイは、日本で最もYouTubeチャンネル登録者数が多いVTuberだ。そんなキズナアイだからこそ実現した企画といえるだろう。

 2つ目は、各楽曲のバックミュージックを無料でダウンロードできること。これによって、主催者側が著作権の問題をクリアにしてくれている。記憶に新しいところでは、ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系列)の「恋ダンス」に近い。「恋ダンス」の「踊ってみた」動画は一大ブームとなった。星野源が所属するレコード会社ビクターエンタテインメントは、期間などの条件を付けた上で、楽曲「恋」の利用を認めていたが、それよりも、キズナアイのキャンペーンは太っ腹である。このキャンペーンは、インターネットをメインとしたビジネスの新しいモデルになっていくかもしれない。

 表現の方法に「歌ってみた」「踊ってみた」だけでなく、「リミックス」を挙げているのも、注目すべき3つ目のポイントだ。リミックスという言葉には、これまでVTuberとは縁が薄かったトラックメイカーたちも興味を示すはず。実力派のプロデューサーが手がける楽曲はどれも高いクオリティを誇っている。VTuberの多くは、バーチャルアイドルとしての面ばかりがクローズアップされがちだったが、このキャンペーンでは、キズナアイをアーティストとしても認知させていこうとする意志が感じられる。

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