今年のベストゲームはどれ? 『The Game Awards 2018』受賞作を大予想

 先日、数あるゲームアワードの中でも権威のある『The Game Awards 2018』のノミネート作品が発表された。受賞作の発表は日本時間で12月7日に行われる予定だ。

 本稿ではゲームライターの脳間寺院が、『The Game Awards 2018』の“Game of the Year”ほか2部門の受賞作を予想する。

“Game of the Year” は『Marvel’s Spider-Man』が本命

 まずは今年いちばんのゲーム“GOTY(以下Game of the Year)”の話をしよう。今年のノミネート作は以下のラインナップとなった。

・『アサシン クリード オデッセイ』
・『Celeste』
・『ゴッド・オブ・ウォー』
・『Marvel’s Spider-Man』
・『モンスターハンター:ワールド』
・『レッド・デッド・リデンプション2』

 2017年のGOTYは『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』一色だったが、今年は昨年にも増して大作続きで予想が難しくなっている。しかし強いて予想するならば、こんな感じだろうか。

本命『Marvel’s Spider-Man』
対抗『レッド・デッド・リデンプション2』
大穴『Celeste』

 発売から3日で7億2,500万ドル(約820億円)を売り上げた『レッド・デッド・リデンプション2(以下RDR2)』の勢いはすさまじい。だが同時に『RDR2』はライトなユーザーには受け入れがたいほどクセのある作品だ。『RDR2』は、あらゆる動作にリアリティがあるものの、あらゆる動作がモタモタしている。『The Game Awards 2018』で8部門にノミネートされた玄人好みのエンタメ大作は、どこまで躍進するのだろうか。

フォトモードも凝っていて実に楽しい。バスケにいそしむスパイダーマン。

 一方ディープな西部劇体験ゲームである『RDR2』とは対極にあるのが、誰でも気持ちよくヒーローになれる『Marvel’s Spider-Man』だ。ニューヨークの摩天楼をスイングするのも、犯罪者の集団を懲らしめるのもシンプルな操作系で迷いなく、かつ自由に行える本作は今年のGOTYの本命馬ではないだろうか。『RDR2』は人を選ぶゲームだが、『Marvel’s Spider-Man』は万人向けの本格アクションだ。

 そして2018年頭にリリースされ、主に海外のゲームメディアで大絶賛を受けたインディゲーム『Celeste』の受賞も頭の片隅に入れておくべきだろう。

 シンプルかつ高難易度な2Dアクション『Celeste』は、危険な冬山をジャンプとしがみつきで登っていく“登山ゲー”だ。1ステージ辺り50~100回は死んで当たり前という難易度の高さとは裏腹に、無制限コンティニューが可能なため、かつての『ロックマン』ほどストレスを感じないのが素晴らしい。

 ピクセルアート、横スクロールアクション、高難易度と現在のインディーゲームシーンでは定番となりつつある要素だ。そして、それらの要素が高い水準で組み合わされた『Celeste』は、大作オープンワールドゲームを押さえて受賞してもおかしくない。

続いてゲームにおける脚本賞“Best Narrative” の受賞作を予想

・『Detroit: Become Human』
・『ゴッド・オブ・ウォー』
・『ライフイズストレンジ2:エピソード1』
・『Marvel's Spider-Man』
・『レッド・デッド・リデンプション2』

 文字通り最もナラティブなゲームに与えられる“Best Narrative”は、アカデミー賞で言うところの脚本賞と似ているようで少し違う。脚本は英語で“Screenplay”だが、ナラティブ(“Narrative”)は脚本にとどまらず、より抽象的な意味での“語り”を意味する。つまり“Best Narrative”とは、単にストーリーが優れているだけではなく、より広義の意味で物語ることに優れたゲームが対象になる。

 そう考えると、オープニングからエンディングまで1度もカットがなく“全編ノーカット”を貫いた『ゴッド・オブ・ウォー 』は、徹底してナラティブなゲームであることにこだわっている。『ゴッド・オブ・ウォー 』の撮影監督ドーリ・アラージは、全編ノーカット演出について“映像をひとつなぎにすることでドキュメンタリー要素が生まれ、キャラクターへの感情移入がスムーズにできる”と語った(動画より)。

 また、『Detroit: Become Human』に『ライフイズストレンジ2:エピソード1』という2作の素晴らしいアドベンチャーゲームもレースに加わって、今年のベストナラティブ賞は激戦の様相を呈している。

 筆者の受賞予想は『ゴッド・オブ・ウォー』。やはり“全編ノーカット”のインパクトは強い。

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