IFPIが2018年の世界音楽市場売上を発表 各国の音楽配信マーケットの変化に迫る

 IFPI(国際レコード連盟)が2018年における世界の音楽市場売上の調査結果を公開した。世界の音楽市場は前年に比べ9.7%増、売上高191億ドル(約2兆1285億円)に達したとのこと(参照)。また国別の順位では1位アメリカ、2位日本、3位英国、4位ドイツ、5位フランス、6位韓国、7位中国、8位オーストラリア、9位カナダ、10位ブラジルという結果になった。IFPIの調査結果から、各国における音楽配信マーケットのあり方はどのような変化を見せているのだろうか。デジタル音楽ジャーナリストのジェイ・コウガミ氏に話を聞いた。

「1位のアメリカは、ストリーミングサービス利用が最も進んでいる国の一つです。その理由の1つとして、音楽業界のプロモーションがストリーミングありきで増えていることがいえるでしょう。例えば、ラジオで流れている楽曲ではストリーミングで人気がある楽曲が多いです。アーティストがストリーミングで利益を得られる体制も整ってきているんですよね。一方2位の日本は、フィジカルで音楽を聴いている人が多い国。CDに特典をつけているほか、人気のあるアーティストがサブスプリクション解禁をしていないなど、フィジカルで利益を得る構造になっているように思います。

 他方では、3カ国は、ストリーミング利用者が急増しているラテンアメリカ、中国、韓国にも注目したいです。その理由は、アメリカのようにアーティストがストリーミングで利益を得られるような仕組み作りが進んでいるからだといえるでしょう。ストリーミングは、利用者だけでなく作品数を増やしていかなければ利益に繋がりにくい。ラテンアメリカ、中国、韓国は自国で活躍するアーティストたちのサブスクリプションを解禁させたり、世界中のアーティストの音源数を増やしていったことによって、ストリーミングをビジネスとして発展させてきました。すでにストリーミング利用者が伸びきっているアメリカに比べて、今後アジアやラテンアメリカにおけるストリーミング利用者は増えていくといわれていますが、この3カ国はそれを見越して種まきのようなプロモーションをしていたのです」

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