夕闇に誘いし漆黒の天使達ライブレポート 全国ツアー「はじめて」初日、白熱の厚木を振り返る

夕闇、全国ツアー厚木公演レポ

 6月5日、夕闇に誘いし漆黒の天使達の全国ツアー2019「はじめて」のファイナルがマイナビBLITZ赤坂で開催され、満員の観客を楽しませた。本稿では、大成功に終わったツアーの第一歩ーー4月13日に彼らのホームである神奈川県・Thunder Snake ATSUGIにて行なわれ、プラチナチケットとなったツアー初日をレポートする。


 夕闇に誘いし漆黒の天使達は、高校時代の幼馴染を中心に結成され、厚木を拠点に活動しているコミック系ラウドバンドである。メタル、ハードコア、スクリーモ、アイドル、ヴィジュアル系etc……と、様々なジャンルを貪欲に吸収したサウンドに、勢いのあるユーモアを交えた歌詞が特徴だ。

 それと同時に、YouTuber最大手事務所「UUUM」に所属し、大喜利、検証、ドッキリ、演奏、女装etc……と、ゆかいな男子たちが、よってたかってバカをやっている動画を、毎日のようにアップロードしているYouTuberでもある。ラウドロックとYouTuber、若者が大好きなジャンルを併せ持った、いわばカツカレーのようなバンドである。そりゃあ美味しいに決まってるでしょう。

 そんな彼らが4月3日にリリースした、1stフルアルバム『はじめての夕闇に誘いし漆黒の天使達』を引っさげての全国ツアーは軒並みソールドアウトで、人気の高さが伺える。この日はツアー初日、そして彼らが「ホーム」と呼ぶ会場だけあって、フロアも超満員。開演前からラッシュ時の埼京線の車内のような様相を醸し出していた。


 開演時刻になり、幕代わりのシャッターが徐々にあがっていくと、フロアからは期待に満ちた歓声があがる。SEの流れる中、にっち(Dr.)、千葉(Gt.)、ともやん(Ba.)、そして小柳(Vo.)が登場。ステージ中央にあるお立ち台の上に乗り、フロアをゆっくりと見渡し、「初っ端から飛ばしていこうぜ! 厚木!」と小柳が叫ぶ。そして、「アンダーグラウンドパクリシティ」からライブはスタート。YouTubeでMVが公開されていたこともあってか、オーディエンスとの掛け合いもバッチリだ。

 スポーツブラにツインテールという、どちらかというと変質者寄りの出で立ちなのに、何故かカッコいい小柳、動画でイタズラされがちな愛機・S7Gのポテンシャルを見せつける千葉、ベースを低めに構えて低音を響かせるともやん、Pearl、Zildjianとエンドースメント契約を結んだばかりのドラムセットで、ストイックにリズムを繰り出すにっち。




 小柳が「俺たちが! 夕闇に誘いし漆黒の天使達だ!」と名乗りを上げ、全員でカッコいいポーズをとる。そして千葉が「お前らー! 声出していくぞー!」と、計3回のコール&レスポンスで盛り上げたのち、「“初日だから4回くらい煽って”って言ったら、キレイに4回!」と小柳がポツリ。

 そして、「今日は初日だから、曲のノリは皆さんで決まるわけです! 皆さんの本気を見せてもらいたいんで!」と、「超次元お助けアンドロイド」へ。この曲の間奏では、小柳が「これまで見せていない特技・手を使わずにドラえもんを描く」を披露すると前フリがあり、フロアに背を向け、腹芸でドラえもんとは似ても似つかない何かを描いていったかと思えば、「ぼ~く~ドラえもん~」と声真似で強引にまとめた。「特技」の概念を越えたパフォーマンスに圧倒された一幕であった。

 そして「猫」つながりか、「猫サンキュー」へなだれ込むと、ともやんはスラップが響かせ、サビではシンガロングが巻き起こる。小柳の「寿司は好きか! 寿司の曲やります!」と、「SUSHI SONG」 が始まると、にっちのツーバスが重低音を刻み、千葉は板前よろしくハチマキを装備。ステージとフロアが、「ヘイ! らっしゃい!」というフレーズで独特の一体感を醸し出し、フロアには「回転寿司」という名のサークルピットが誕生。ラウド系コミックバンドの名にふさわしい、カッコよくて面白い光景が広がっていく。

 MCでは、人生初のガールズバーに行ったところ、ちょうど時間差で同じ店にともやんも来ていたという話を面白おかしく披露する小柳。そして夕闇とお酒といえば……。察したオーディエンスがタオルを掲げ、「ウォウウォウイェイイェイ酒ナイト」へ。曲間ではメンバー全員が楽器を置いてオーディエンスとともにダンスを踊るのがおなじみのパフォーマンスとなっている。この日はとくににっちのキレのある動きが印象に残っていた。

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