任天堂がシャープ製ディスプレイ「IGZO」採用 噂の『Switch Pro』に実装か?

 先月『Nintendo Switch Lite』を発表してSwitchブランドの基盤を固めつつある任天堂が、新たな一手を打つ。その一手とは、ディスプレイ開発で定評のあるあのメーカーに関係している。

謎多きシャープと任天堂の発表

 日本版『ウォールストリートジャーナル』は7日、大手家電メーカーのSHARPが任天堂に対してディスプレイを供給することを報じた。報道ではSHARP副会長の野村勝氏が供給するディスプレイに関して、「私たちが最も得意とするもの、IGZOだ」と語ったことも伝えている。

 任天堂がSwitch Lite発表後もゲーム機の開発を続けていることは、確実視されている。例えば日本版『Tech Crunch』が先月19日に公開した記事によると、同社はバッテリー寿命を延長したアップグレード版Switchを販売する見込みだ。もっともこのアップグレード版Switchに関しては、新型のプロセッサとメモリが実装されることにより節電を実現すると言われているので、IGZOが実装される可能性が低そうだ。

 IGZOが実装される候補としては、Switchの上位互換機と目されているSwitch Proが指摘できる。Switch Proに関しては、既報のように来年リリースと予想されている。リリースまでにまだ時間に余裕があるので、ぬかりなくIGZOを実装することができるだろう。

 いずれにしても、ウォールストリートジャーナルの報道に関して任天堂はコメントを差し控えているため、IGZOが実装される製品が何であるかについて確かなことはわからない。

IGZOのゲーム機実装は何を生み出す?

 ところで、IGZOをゲーム機に実装することによって期待できる効果とは何であろうか。この疑問に対しては、テック/ビジネス系メディア『Venture Beat』が7日に公開した記事が詳しく答えている。その記事では、IGZOを実装することによる利点を3点挙げている。

 1点目は節電の実現だ。IGZOは、従来は難しいとされてきたインジウム(In)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)、酸素(O)を結晶化させてディスプレイとして製品化した。従来型ディスプレイとは異なるIZGOの結晶構造は、電子を通しやすいという性質がある。この性質により、電子が移動する際に消費するエネルギーが少なくて済む。電子移動時に要するエネルギーを抑制できるため、節電を実現できるというわけなのだ。

 2点目は、リフレッシュレートの向上だ。リフレッシュレートとは1秒間に再描画(リフレッシュ)する回数を表す単位であり、ヘルツ(Hz)を単位とする。例えば、60Hzのディスプレイは1秒間に60回再描画する。リフレッシュレートが高ければ画面のちらつきのない滑らかな動きを表示できるのだが、IGZOは従来型ディスプレイに比べて高いリフレッシュレートを実現できるといわれている。

 3点目は高い輝度の実現。IGZOは消費電力を抑えながら、従来より明るい画面を実現できる。

 以上のような利点がある一方で、画素数の増加はあまり期待できない。というのも、画素数を増やすと描画処理を実行するチップの負担が大きくなり、消費電力も大きくなるからだ。チップの負担増に伴う消費電力の増加はIGZOの効用である節電効果を相殺してしまうので、画素数を増やすという選択肢は現実的でないといえる。

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