『FAVRIC』が提示した、「バーチャル」×「ファッション」の多様性

バーチャルファッションイベ『FAVRIC』レポ

 VTuberを筆頭にしたバーチャルタレントの活躍は、動画投稿やライブ配信、音楽活動などに加えて、ファッションの世界でも進んでいる。近年では国内外問わずバーチャルモデルやバーチャルインフルエンサーが登場。様々なジャンルと同じように、「バーチャル」と「ファッション」の距離もまた、今まさに近づきつつある。そんな時代ゆえの試みとして、VTuberとファッション、音楽を融合させたイベント『FAVRIC』が幕張メッセで開催された。

 このイベントは、人気VTuberが多数出演し、モデルとしてランウェイを歩いたり、ライブを披露したりする大型リアルイベント。ステージ上に巨大スクリーンが設置されているだけでなく、会場の中央部分には無数のスクリーンを使用して組まれたリアルなランウェイが出現し、観客がそれを「コ」の字型に取り囲む形で会場を埋め尽くしている。これまでのVTuberによるリアルイベントでも他に例を見ない、新鮮な風景が会場に広がっていた。

 まずはオープニングDJとして、2019年1月の『Re:animation 13』にDJとして出演したことも記憶に新しいミライアカリのDJセットがスタート。燦鳥ノムの「Life is tasty!」では冷蔵庫を開けるジェスチャーで盛り上げたり、ヒメヒナの「ヒトガタ」ではコマネチをしたりと、VTuber仲間の魅力をジェスチャーでも表現しつつ、今年屈指のガラージポップ名曲「ネオンライト」(TEMPLIME+星宮とと)、フューチャーベースを取り入れた「クレイジークレイジー」(『アイドルマスターシンデレラガールズスターライトステージ』)なども加えて会場を盛り上げる。

 終盤には自身のキラーチューン「ミライトミライ」などで観客を早くも興奮状態に。「バーチャルな存在」という共通点で集まっているからこそ、VTuberの音楽シーンで人気を集める楽曲は、ポップの王道からボカロ曲、ヒップホップや最新のクラブ・カルチャーを取り込んだ楽曲まで、多岐にわたっている。その雰囲気が伝わるような素晴らしい選曲で、会場のムードを一気に盛り上げていった。

VTuberのリアルライブで表現された「奥行き」の魅力

 その後イベント本編がスタート。まずは出演者全員がランウェイを歩いてポーズを決めると、そのままファッションショーがはじまる。ここでまず印象的だったのは、大型スクリーンを多数重ねたランウェイが、現状はまだ平面のスクリーンから抜け出すことが難しいVTuberのリアルイベントに「奥行き」を与えていたこと。VR空間を自由に動き回れるVRライブで感じられる臨場感をリアルイベントでも再現するかのような演出に、会場からも大歓声が上がった。また、毎日同じ服が着られるバーチャルな存在だからこそ目を引くこの日だけの新衣装も、それぞれに個性的だった。

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 たとえばKMNZは「▽」型の雨が和装を流れ落ちる衣装で、ピンキーポップヘップバーンは背中の両サイドにブースター風の装置が浮かぶスリムな宇宙服を思わせる衣装で登場。一方でMonsterZ MATEはリアルクローズを意識した衣装で登場し、ミライアカリは重力を無視した形状のスカートでランウェイを歩いていく。YuNiは肩とスカートの裾が燃え続ける幻想的な服を身にまとい、アイドル部は丈はそれぞれ違うものの、ジャージをテーマに統一したファッションで登場。普段とは異なる衣装を身に着けることで、それぞれの新たな一面が見える新鮮な雰囲気はこの日ならではだ。

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