SECOND、ブンブン、KANA-BOON、ドレスコーズ、CIVILIAN…困難を乗り越えて掴んだ“表現”

 ジャンルやスタイルに関わらず、活動を継続していれば、思ってもみなかった出来事に必ず見舞われる。その困難をどう乗り越え、自らの表現にどう取り込むかが、そのアーティストの力量であり、存在価値でもあるのだ。ここでは、様々な場面に直面しながら、それを新たな表現に結び付けることに成功したアーティストたちの新作を紹介したい。

 初の単独アリーナツアーを開催中のEXILE THE SECONDのニューアルバム『BORN TO BE WILD』。シングル3部作(『YEAH!! YEAH!! YEAH!!』『Shut up!! Shut up!! Shut up!!』『WILD WILD WILD』)を含む本作には、90年前半のヒップホップ、R&Bを軸にしつつ、ファンク、ディスコ、エレクトロ、EDMといった多彩なファクターを反映させた楽曲が並んでいる。30代半ばになったメンバー自身のルーツ音楽と現在のモードをバランス良く取り入れた本作は、彼らのアイデンティそのものと言っていいだろう。二代目J Soul Brothersとして活動をスタートさせてから約10年。本作によって彼らは、自らの独自性と存在意義をようやく掴み取ったのかもしれない。

EXILE THE SECOND / SUPER FLY (from NEW ALBUM 「BORN TO BE WILD」)

 2016年6月に発表した『LAY YOUR HANDS ON ME』をもって活動を終了したBOOM BOOM SATELLITES。メンバーの中野雅之が監修、選曲、マスタリングを手がけたオールタイムベストアルバム『19972016』には、ダンスミュージックとロックミュージックの創造的な交配を繰り返しながら、普遍的と呼ぶにふさわしい音楽に辿り着いた約19年の軌跡が生々しく描き込まれている。その背景にあるのは言うまでもなく、中野と川島道行の歴史だ。イマジネーションを駆使しながら、日本のアーティストとしては前代未聞の活動を繰り広げてきた二人。本作から伝わる壮大なストーリーは、中野、川島のあまりにも濃密な関係性に直結しているのだと思う。『19972016』の制作によってバンド活動に区切りをつけた中野の、音楽家としての新しいキャリアにも大いに期待したい。

BOOM BOOM SATELLITES BEST ALBUM『19972016』SPOT

 KANA-BOONの2017年第1弾シングル『Fighter』表題曲は、アニメ『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』(TBS系)OPテーマ。まず印象に残るのは、ズッシリとしたヘビィネスとスリリングなスピード感を共存させたバンドサウンド。軽快な四つ打ちでシーンを席巻、3rdアルバム『Origin』でダイナミックなロックに挑戦した4人は、この曲によって、新しいバンド像を描き出すことに成功している。“戦場での一瞬の輝き”というアニメのテーマ、4人のメンバーが抱える“自分たちの居場所を掴み取りたい”という意思がひとつになった歌詞を含め、「Fighter」はKANA-BOONの新しい出発点として認知されることになるだろう。そして……がんばれ飯田!  応援してます。

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