今井翼、愛される理由は“人と丁寧に向き合う姿”にあり 15年続いたラジオ番組終了に寄せて

 タッキー&翼の今井翼がパーソナリティを務めていたラジオ『今井翼のto base』(文化放送)が3月22日をもって終了した。ラジオは、今井とファンを繋ぐ貴重な場だっただけに惜しむ声が殺到している。2003年7月から14年9カ月続いた長寿番組だった。一度幕を閉じることで、今井がメニエール病の治療に専念できるように、という愛のある決断なのだろう。体調が万全になり次第、この番組も復活してほしいと、切に願う。

 なぜ、これほど今井のラジオが愛されてきたのか。それは、人と真摯に向き合う姿が電波越しに伝わってくるからだ。実質、最終回となった3月22日放送回では、リスナーから寄せられる短めのメール“短メール”スペシャルが披露された。「どんなタイミングで春用の布団を変えるか」、「今もお姉さん座りが得意か」……など、ちょっとした話題にも丁寧に答えていく今井。

 どのくらい丁寧かというと、たとえば「お財布の中は整理整頓していますか?」というメールに対して「長財布を使っていたんですよ。でもそうすると、いろんなポイントカードとかクレジットカード、お金とか、レシートとか入れてるとパンパンになって、ケツポケットに入れると、結構かさばるんだよね。で、去年いいカードケースを見つけたんで、6枚くらいカードが表面に入るんでカードを入れて、中はコインケースなんだけど、お札を三つ折りくらいにして入れて、小銭も入れてっていうふうに使ってたんだけど、やっぱり限界があって。使いたい時に使いたいカードを入れてないと、やっぱり不便なので。結局、そのあとにカードケースはカードケースとして使って、もう1個小銭用のお財布を買って。だから今、僕ふたつ使ってるんですよね。たまに、ふたつあるとどっちか持っていくのを忘れちゃいそうになったりするんだけど、わりと僕にとっては便利なんですよね。ま、でも今さ、携帯電話とかスイカとか、電子マネーっていうものが使えるから、今後どんどんポイントカードっていうのも携帯の中に搭載できて、その分減っていくんだろうね。だって今携帯電話で買い物できますからね……」というボリュームの回答が返ってくるほどだ。

 どんな質問にも誠実に答えてくれる今井の番組には、親子で聴いているという2世代リスナーも少なくない。子世代となる10代のリスナーから寄せられる、大人の男性への質問に今井が答える“教えて翼先生”というコーナーも好評だった。「親にどんな料理を作ってあげたらいいか」など、微笑ましい質問も多くほっこりしたものだ。また、3月1日、8日放送回では“90年代スペシャル”と題して、オテンキのりと90年代の音楽やドラマについて大いに盛り上がった。そんな特集ができるのも、今井が異なる時代を生きるリスナーを仲介できるほど、幅広い世代に愛されている証拠だろう。ドラマ『東京ラブストーリー』(フジテレビ系)の話題になると「俺さ、子どものころ近所の人たちに織田裕二さんに似てるってすげー言われたの、“カンチ、カンチ”って呼ばれたの」と、思い入れたっぷりにエピソードを披露。さらに「知ってる? カンチとリカが働いてたオフィスの撮影地って、ナカメ(中目黒)にあるんだよ」と、ちょっぴりマニアックなうんちくも飛び出す。物事を深く知り、それを発信していくのが今井らしいところだ。

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